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スウェーデンに学ぶこれからの予防歯科

はじめに

スウェーデンは予防歯科の先進国と言われています。

かつては虫歯や歯周病にかかる人の多かったスウェーデンですが、1970年代に「予防歯科」を国家的なプロジェクトとして始動し、歯科医院で予防歯科を受けることを義務化したのです。その効果は大きく、現在のスウェーデンは、世界で最も歯科疾患が少ない国だと言われています。
日本でもスウェーデン式の予防歯科を取り入れている歯科医院が増えています。

今回は、スウェーデン式予防歯科の良いところを見習い、虫歯や歯周病から歯を守る方法を詳しく紹介していきます。

スウェーデンと日本の現状

日本でも、予防歯科に通う人が増えてきていますが、スウェーデンと比較すると、まだまだ予防歯科の意識が低いのが現状です。
「予防歯科」という考え方を知っている人の割合は、日本では約20%なのに対し、スウェーデンでは、約60%にもなります。

引用元:3カ国のオーラルケア意識調査(ライオン株式会社)

なぜ予防歯科が大切なのか

なぜ予防歯科が大切なのか、予防歯科を受けることのメリットを解説していきます。

虫歯や歯周病を予防できる

予防歯科を受けることで、虫歯や歯周病になる前に、予防をすることができます。

虫歯や歯周病は、痛みなどの症状が出てから治療をすると治療のサイクルに陥りやすくなります。
一度、虫歯にかかると治療をしても二次的に虫歯になりやすくなるのです。また歯周病には明確なゴールがなく、罹患してしまうと歯周病が進行しない状態を維持していくことになります。

病気になる前に予防をすることで、治療のサイクルに入り込むことを防ぐことができます。

虫歯の予防

歯周病の予防

虫歯や歯周病を早期発見・治療できる

予防歯科を目的として歯科医院に通うことで、定期的にお口の状態チェックを受けることができるため、虫歯や歯周病を早期発見することができます。早めに発見することで、進行する前に治療をすることができ、歯への負担が少なくなります。そして治療費も安く済ませることができます。

虫歯は、初期の段階では痛みを感じません。そのため、自分で気づくことが難しいのです。定期的にプロの目でチェックしてもらうことで、かなり早い段階で虫歯に気づき、治療することができます。

また歯周病は、初期から中程度になるまで、痛みなどの自覚症状がほとんどありません。痛みが出るころには、かなり重度にまで進行していることが多いので、早期発見と早めの対処がとても重要になります。

健康な歯を長く維持することができる

歯は失うと2度と元に戻りません。歯を失う可能性がある虫歯も歯周病も進行することはあっても、元の状態には戻らないのです。

例えば、虫歯治療で一度歯を削ってしまうと、もうその部分は戻りません。そして治療をした歯が、二次的に虫歯になることを繰り返すと、いつの間にか自分の歯は失われてしまいます。

予防歯科で可能な限り健康な歯を長く維持することが、自分の歯でいつまでも食べるためのポイントです。

予防歯科と健康寿命の関係

将来の歯科治療費を抑えられる

予防歯科で通院する費用よりも、虫歯や歯周病に罹患してしまった場合の治療費の方が圧倒的に高くなります。病気になる前に予防をすることで、将来の歯科治療費を抑えることに繋がります。

全身の病気を予防することができる

虫歯や歯周病は、口の中だけの問題ではなく、全身の様々な疾患に影響しています。

例えば、高齢者に多い「誤嚥性肺炎」は、お口の中の歯周病菌が誤って肺に入ってしまうことで発症します。
また、歯周病菌が出す毒素は、歯ぐきの中の血管を通って全身に巡ります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めることも分かっています。

予防歯科で歯とお口の健康を守ることは、全身の健康を守ることにも繋がるのです。

予防歯科と将来の治療費の関係

スウェーデンの予防歯科の3つの取り組み

スウェーデンでは、予防歯科でどのような取り組みをしているのでしょうか。次の3つのポイントに分けて紹介していきます。

  1. 正しい歯磨き
  2. 生活習慣の見直し
  3. 歯科医院でのプロによるケア

1、正しい歯磨き

予防歯科の基本は、毎日の歯磨きです。定期的に歯科医院に通うことも大切ですが、毎日の習慣はお口の中に大きな影響を与えます。 スウェーデンでは、歯ブラシ以外のデンタルケアグッズと使ってケアすることが、国民の間で定着しています。デンタルフロスやワンタフトブラシ、歯間ブラシ、舌ブラシなどを使い、歯ブラシで行き届かない部分のケアは、清掃補助用具を使って除去しています。

実際に通常の歯ブラシだけでは、全体の60%の汚れしか除去することができないと言われています。日本でも歯ブラシ以外の清掃グッズを使う人が増えてきていますが、なかなか毎日の習慣になっていない人が多いのが現状です。

歯科医院で自分に合ったデンタルケアグッズと使い方の指導を受けるようにすると良いでしょう。

2、生活習慣の見直し

虫歯の原因は、歯に付着した歯垢(プラーク)だけではありません。甘いものをダラダラと食べるような食習慣や唾液の分泌が減るような習慣は、虫歯のリスクを高めます。

食習慣の見直し

虫歯菌は、甘いもの(糖分)を栄養源として、歯を溶かす「酸」を作り出します。虫歯菌の大好物である甘いものの摂取が多いと、それだけ虫歯のリスクが高くなります。

特に「食べる量」よりも「食べる時間」「食べ方」の影響が大きく、時間を決めずにダラダラと食べると、お口の中が酸性の状態になる時間が長くなり、歯の表面のエナメル質が溶けやすくなります。

ジュースや砂糖の入った珈琲などを水分補給のように習慣的に飲んだり、飴やガムなどをダラダラと食べたりする習慣のある人は、食習慣を見直す注意が必要です。
ちょこちょこと食べたくなる場合には、虫歯菌の栄養源にならない「キシリトール」配合のガムなどを利用すると良いでしょう。

唾液が出やすい環境への見直し

唾液の持っている力は大きく、唾液がしっかりと分泌されることで、虫歯や歯周病の予防になります。菌に対する殺菌作用やお口の中を洗い流す作用、酸性に傾いたお口の中を中和させる作用、溶け出した歯のカルシウムを再び取り込む再石灰化作用などがあります。

睡眠不足やストレスが溜まっていると唾液の分泌が減ることがあるので、生活習慣を見直すとよいでしょう。また、口が開いたままになることが多い人は、お口の中が乾燥しやすいため注意が必要です。しっかりと口を閉じて鼻呼吸をする習慣をつけていきましょう。

3、歯科医院でのプロによるケア

毎日の歯磨きに加えて、定期的に歯科医院でプロによるケアを受けることもとても大切です。
歯科医院では、普段の歯磨きでは除去しきれない歯垢(プラーク)の除去、「バイオフィルム」という細菌の集合体の除去、歯石の徐々などのクリーニングを受けることができます。

バイオフィルムや歯石は自分では除去することができないので、定期的に除去してもらうようにしましょう。
定期的にケアを受ける際には、お口の中全体のチェックもしてもらうことができます。
虫歯や歯周病の早期発見にも繋がるので、定期的なチェックも習慣にしていくと良いでしょう。

クリーニングについて

まとめ

虫歯予防先進国のスウェーデンでは、定期的にメンテナンスを受けている人の割合は約90%にもなるそうです。今回説明したように、予防歯科を受けることはとてもメリットが多く、お口や歯の健康だけでなく、全身の健康にも繋がります。

スウェーデン式の予防歯科を私たちも見習い、虫歯や歯周病を予防していきましょう。