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予防歯科と将来の治療費の関係

はじめに

予防歯科に取り組むと「どのくらい健康に影響するのか」、「どのくらいの効果があるのか」など気になる方が多いと思います。今回の記事では、予防歯科と将来の歯科治療費の関係について説明します。

予防歯科とは

歯や口腔の健康を保つために、疾患や問題を未然に防ぐための歯科学の分野のことを言います。予防歯科を行う目的は、虫歯や歯周病などの発生を予防し、口腔環境を良好な状態に保つことで、長い期間、健康な歯と口腔を維持することです。

虫歯の予防 歯周病の予防

予防歯科が重要な理由

予防歯科が重要な理由はシンプルで、将来的に歯を失うリスクを大幅に減らすことができるからです。予防歯科を若い頃から行うことは、日常から一人ひとりのお口の中の状況に合った、適切な口腔ケアを可能にしてくれます。

例えば、皆さんは「8020運動」という運動をご存知でしょうか。「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動のことで、厚生労働省や日本歯科医師会が推進している運動です(人の歯は全部で28本あります)。

自分の歯が20本残っていることで生涯において、ご飯をおいしく食事をすることができ、全身の健康にも繋がりますので、予防歯科はとても重要と考えられます。

早期の予防歯科がもたらすメリット

予防歯科を行わないと小さな問題が大きな問題となる

予防歯科を行わないと徐々に今ある多くの歯を失ってしまいます。そうすると、以下のような疾患・症状の病気になる可能性が高まります。結果的に大きな治療が必要になり、医療費は高くなると考えられます。

〈疾患・症状〉
・がん
・心臓疾患(脳梗塞・脳卒中・狭心症・心筋梗塞・心不全・不整脈など)
・脳血管患
・誤嚥性肺炎
・早産

このように予防歯科を行わずに歯が無くなってしまうと、さまざまな疾患のリスクを高めます。これは「噛み合わせが合わなくなり全身バランスが悪くなる」「噛むことができなくなり、軽食傾向が強くなることで引き起こす栄養バランスの偏り」といった原因が考えられます。
予防歯科に取り組み歯を守ることによって、全身疾患を予防することができるため、結果的に生涯医療費を削減することができるということです。

予防歯科が生涯医療費にかなり影響

調査結果を見ると、予防歯科が生涯治療費を安く抑えることに繋がっていたという調査データが残っています。トヨタ関連部品健康保険組合(愛知県豊田市)と豊田加茂歯科医師会の共同調査を行い、以下のような結果が出ています。

〈調査対象〉
・組合員5万2600人の2009年度の医療費と受診歴のデータ
・年2回以上、定期的に歯石除去などの予防歯科を受診している602人の医療費を調べた

〈結果〉
・定期的に歯医者へ行っている、48歳までは総医療費が平均より高いが、49歳を超えると平均よりも総医療費が安い
・49歳を超えると総医療費の差は徐々に広がり、65歳では定期受診の人が15万円も安くなった
・年齢が高くなればなるほど、総医療費の差は大きい

この結果を見ていただくと、特に年齢を重ねれば重ねるほどに治療費が大きく変化することが分かります。そのため、まずは予防歯科を意識して行動することで少しずつ治療費を削減することに繋がります。

歯周病と糖尿病の関わり

予防歯科の実践方法

セルフケアのポイント

予防歯科で重要なことは、毎日のセルフケアです。普段しっかりと歯磨きをしているつもりでも磨けていない箇所があったり、磨き残しがあったりします。セルフケアで注意すべき大切なポイントは、以下の3つです。

①「フッ素」を口の中に残したままにすること

「フッ素」は、自然界にある元素の1つで、普段の食事やお茶の中にも含まれています。フッ素は様々な研究結果から、虫歯予防に高い効果を発揮することが証明されています。現代では世界各国で「フッ素入り歯磨き粉」が一般的になっています。

フッ素は「虫歯予防」に活きる3つの働きをしてくれます。

1つ目は 「再石灰化」の促進です。歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促す役割を担っています。
2つ目に歯質を強化してくれるという点です。歯の質を強化して酸に溶けにくい歯にしてくれます。

最後に細菌が酸を作り出すのを抑えてくれます。歯垢の中に潜む虫歯の原因菌の動きを弱めて酸が作り出されるのを抑えてくれます。

②「細菌」を増やさないことを意識する

しっかりとした歯磨きやフッ素ケアを意識している方でも、「就寝中」を意識される方は少ないのではないでしょうか。実は就寝中は細菌が増えやすくなっています。人間の唾液は、お口の中の細菌などをお口の中から洗い流す自浄作用があります。

しかし、寝ている間はその唾液の量が少なくなるため、虫歯の原因となる菌が増殖しやすくなっています。そのため、マウスウォッシュやデンタルリンスなどを活用してしっかりと予防しましょう。

③「歯垢」を残さないようにしっかりと磨き落とす

毎日のセルフケアで「歯垢」を残さないようにしっかりと歯磨きをすることが重要で、まずやるべきことです。

歯垢は「プラーク」と呼ばれていて、歯の表面に着いて増える「細菌のかたまり」のことです。1mgの歯垢には、約2億~3億個もの細菌が潜んでいると言われ、虫歯や歯周病、口臭などを引き起こす原因となります。

歯垢は粘着性が強いため、放っておくと歯の表面に気づいたら付着しています。特に歯と歯の間の磨き残しや歯と歯茎の境目、奥歯など、歯ブラシでは磨きにくい部分に残るケースが多いので、これらの部分は意識して磨きましょう。

セルフケアをできることから1つずつ行うことが、予防には重要です。意識してみてください。

バランスの取れた食事と生活習慣

基本的に日本人が摂る食事は、カルシウムがまだまだ足りていません。丈夫な歯を作るためには、カルシウムやリンなどのミネラルに加えて、良質のたんぱく質やビタミンA・C・Dなども必要です。

また、様々な食品を組み合わせて、バランスの取れた食事摂ることをおすすめします。そして食物繊維が沢山含まれた野菜やお肉、お魚などの噛みごたえがある食事を摂ることで、よく噛むようになり、顎の骨を丈夫にしてくれること、歯の表面についた細菌や付着物を取ることができます。

よく噛むことは、唾液の分泌も多くし、口腔内の衛生環境改善に繋がります。

定期検診の重要性

将来、多くの歯を残すためには、歯を失う二大原因の「虫歯」と「歯周病」を防ぐことが必要です。しかし、セルフケアだけで予防していくことには限界があります。自分では丁寧に歯を磨いたつもりでも十分に歯の汚れを落とすことは難しく、歯磨きだけでは効果的な予防はできないものです。

加えて「虫歯」や「歯周病」の原因はプラークのみに限らず、唾液の分泌量が少ないことで歯を守る力が弱くなり、口内の病気の原因菌が増殖すると発症リスクが高くなることもあり得ます。そのため、自分のお口に合った対策を行い効果的な予防に繋げましょう。

また、「虫歯」や「歯周病」は発生・再発を繰り返し、その度に歯が減ってしまいます。それを防ぐためには、毎日のセルフケアと定期的に歯科医院でしっかり汚れを落とすことが大切です。歯を多く残すための予防歯科と定期検診はとても重要です。

クリーニング

まとめ

今回は予防歯科と将来の歯科治療費の関係について説明しました。皆さんが思っている以上に予防歯科が重要であることをお分かりいただけたと思います。くれぐれもおざなりにならないように意識してみてください。

歯科治療費を抑えつつ身体の健康を保つためにも予防歯科に取り組みましょう。