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予防歯科と健康寿命の関係

はじめに

「歯の定期検診は行かないとまずいの?」
「歯と健康寿命って関係があるの?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか。健康寿命とは健康に過ごせる期間のことで、予防歯科への通院が健康寿命をのばす上でとても大切であることが分かっています。

最近では虫歯や歯周病になる前の予防を大切にする「予防歯科」の考えが広まりつつあり、歯科検診に通う方が増えています。
今回は予防歯科と健康寿命の関係や予防歯科に通わないことで起こる健康リスクについてお伝えします。

予防歯科で健康寿命がのびると言われる理由

歯の定期メインテナンスを行うと、なぜ健康寿命がのびると言われているのでしょうか。
理由は以下の2つになります。

  1. 生涯にわたって自分の歯で噛めるから
  2. 歯周病の予防が全身の健康につながるから

1つずつみていきましょう。

理由1.生涯にわたって自分の歯で噛めるから

健康であり続けるためには、高齢になっても栄養のある食事を摂れることが大切です。そのためには1本でも多く歯を残して、自分の歯で食事を噛むことが重要になります。

複数の歯を失ってしまうと、歯ごたえのある食物繊維やタンパク質を自分の歯で噛み砕くのが困難になります。食物繊維やタンパク質の摂取は健康を維持する上で欠かせない栄養素です。

歯が悪いと軟らかいごはんやパンなどの炭水化物中心の食生活となり、栄養が偏ってしまいます。そうすると身体機能が徐々に低下し、身の回りのことができなくなり最終的には介護が必要となる可能性があります。

自分の歯で噛めるメリットは、食事面だけではありません。噛むことで顔の筋肉が鍛えられ、顎周りが引き締まって見た目の若々しさにもつながります。歳を重ねても人に会ったり、外出を楽しんだりするためにも、健康で丈夫な歯を保つことが重要です。

理由2.歯周病の予防が全身の健康につながるから

予防歯科は口内環境を良くするだけでなく、全身の健康維持にもつながります。

日本人の約8割が感染しているといわれている歯周病は、あらゆる全身疾患の原因となっています。歯周病は「サイレントディジーズ(静かな病気)」と呼ばれており、痛みなどの自覚症状がないまま進行し、気づいた頃には歯がグラグラになっている恐ろしい病気です。

定期的な歯のメインテナンスに通っていない方は、歯周病の進行に気づかず歯を失う確率が高まります。さらに、歯周病の原因菌が全身に広がり思わぬ病気を発症する可能性があります。

歯の定期検診によって、歯周病だけでなく全身のさまざまな病気のリスクを軽減できるのです。

歯周病

予防歯科に通わないことで起こる6つの健康リスク

定期的な予防歯科に通わず歯が悪くなった場合、以下のような健康リスクを引き起こす恐れがあります。

・動脈硬化
・糖尿病
・誤嚥性(ごえんせい)肺炎
・認知症
・転倒・骨折
・早産・低体重児出産

それぞれ詳しくみていきましょう。

動脈硬化

動脈硬化とは動脈の壁が厚くなり血管が狭くなった状態のことで、歯周病によって引き起こされるケースがあります。

歯周病を放置すると、腫れた歯ぐきから歯周病菌が血液中に侵入し、血管の内側に付着して炎症を起こします。この炎症によって血管の壁が厚くなり、動脈硬化が引き起こされるのです。

さらに血流が悪化すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気へと発展する可能性があります。

糖尿病

糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上がる病気です。糖尿病もまた歯周病と深い関連性があります。

血液を通じて全身に広がった歯周病菌は、血糖値を下げる役割を持つインスリンの働きを阻害し、血糖値を上昇させます。その結果、糖尿病を悪化させる恐れがあります。

また、糖尿病の方は歯ぐきの血管がもろくなりやすいため、歯周病の感染リスクが高い傾向にあります。
歯周病と糖尿病は双方が病状を助長し合っているのです。

歯周病と糖尿病の関わり

誤嚥性(ごえんせい)肺炎

誤嚥性肺炎とは食べ物や唾液が誤って気管や肺に入り込むことで発症する病気です。

加齢によって口周りや喉の筋力が衰え、気管を十分に閉じられなくなると、食べ物や唾液に付着した細菌が気管を通じて肺に流れ込み、炎症を起こします。誤嚥性肺炎の原因となる細菌のほとんどは、歯周病菌であるといわれています。

誤嚥性肺炎を予防するには、歯周病の治療はもちろん、口や舌周りを動かす体操で「飲み込む力」を鍛えることも大切です。

認知症

認知症にはさまざまな種類がありますが、その中でも特に多い「アルツハイマー型認知症」は歯周病と深い関りがあります。アルツハイマー型認知症は脳の炎症によって起こる病気ですが、脳内に侵入した歯周病菌が引き金となって発症する可能性が示唆されています。

また、複数の歯を失っている場合「噛む力」が弱まり脳の血流が低下することで、認知症のリスクが高まると考えられています。噛むことによる脳への刺激は、脳を活性化させる働きがあるのです。

転倒・骨折

奥歯を喪失すると、体のバランスが崩れて転倒しやすくなります。人は頭部が重いので、奥歯を噛みしめることで頭の位置を安定させています。
ところが噛み合わせが悪くなると、頭部が不安定になり足元がふらついて転倒するリスクが高まるのです。さらに転倒による骨折で介護が必要となるケースも少なくありません。

転倒や骨折を防ぐには1本でも多くの歯を残し、正しいかみ合わせを維持することが大切です。

早産・低体重児出産

妊娠中の歯周病は、早産や低体重児出産を招く恐れがあります。歯周病の炎症物質が血管を通じて子宮に運ばれ、子宮収縮を引き起こすことが原因とされています。

歯周病菌が胎盤から検出された事例も報告されており、出産異常に影響している可能性も否定できません。

さらに妊娠中は食の嗜好の変化や食事回数の増加により、口内環境が乱れて歯周病にかかりやすい時期です。出産後は虫歯の母子感染のリスクもあるので、妊娠中の歯のケアは入念に行いましょう。

健康な歯を保つために大切な3つの習慣

歯を清潔に保つために、特に実践していただきたい習慣は以下の3つになります。

  1. デンタルフロス・歯間ブラシを使用する
  2. 歯科医院で定期メインテナンスを受ける
  3. ダラダラ食べをやめる

1つずつ詳しくお伝えします。

デンタルフロス・歯間ブラシを使用する

デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯ブラシの毛先では届かない歯と歯の間の歯垢(細菌のかたまり)を取り除くことができます。
歯ブラシ単独の歯垢除去率は6割ほどですが、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると8割以上の歯垢を落とすことが可能です。
虫歯や歯周病の予防だけでなく口臭予防としても効果的なので、是非とも取り入れてみてください。

歯科医院で定期メインテナンスを受ける

歯の健康を保つためには、歯科医院で定期メインテナンスを受けることが不可欠です。どんなに丁寧に歯磨きをしても、完璧に汚れを落とすことはできません。

定期メインテナンスでは歯石や着色の除去だけでなく、ブラッシング指導、歯ぐきの状態チェックも実施しています。3~4ヵ月に1度を目安に通院していただくことで、より確実に虫歯や歯周病を予防できます。

クリーニングについて

ダラダラ食べをやめる

「ダラダラ食べ」は虫歯菌を増やす原因になるので控えましょう。食事の時間が長くなるほど、糖分によって口の中が酸性になり、歯の表面が溶け出して虫歯が進行してしまいます。

間食は時間を決めて回数を減らし、テレビやスマホを見ながらの間食やスポーツ飲料など糖質の多い飲み物の摂りすぎには注意しましょう。

予防歯科を早く始めるほど、歯が残り健康寿命にも影響が

予防歯科に通うことで、健康寿命はのばせます。虫歯や歯周病を放置してしまうと、将来歯を失い身体機能の低下や全身疾患の罹患につながります。

すでに歯を悪くされている方も予防歯科に通うことで、口内環境の悪化を食い止めることが可能です。早いうちから定期メインテナンスを始めれば、年齢を重ねても多くの歯を残せます。

いつまでも美味しい食事や趣味を楽しむためにも、予防歯科で歯の健康を維持しましょう。