歯周病と口臭の関連性について、気になる方は多いのではないしょうか。人と会う機会が多い場合、異常な口臭は深刻な問題になりかねません。
口臭にはさまざまな原因が考えられますが、歯周病によって引き起こされることもあります。
歯周病が原因で口臭が発生している場合、口腔内(お口の中)でさまざまなトラブルが生じている可能性があります。
今回は、歯周病と口臭の関係についてお話します。自分の口臭をチェックする方法も併せてお話しするので、口臭について悩んでいる方は、是非とも最後までご覧ください。
歯周病が原因で発生する口臭には、いくつかの性質が存在します。他の原因にはない特徴が見られるので、口臭を自覚することは多いかもしれません。
本記事では、歯周病関連の口臭に見られる、主な特徴をまとめました。気になる方は参考にしてみてください。
歯周病が関わる口臭の主な原因物質は、硫化水素とメチルメルカプタンという気体です。
普段の口腔内は硫化水素の割合が多いのですが、歯周病がある場合は、メチルメルカプタンの割合が高くなっています。
メチルメルカプタンを産出するのは、Pg 菌(ポルフィロモナス・ジンジバーリス)と呼ばれる細菌です。
歯周病により発生した口臭は、他の原因で生じた口臭よりも臭いが強い傾向です。
メチルメルカプタンには、独特な臭気を漂わせる性質がありますが、一般的には腐った玉ねぎのような臭いと表現されます。
玉ねぎの臭いは、歯ぐきの状態や重症度に関係なく、歯周病を患っている方のほとんどに見られる症状です。
また、口臭は臭いが強い食べ物によっても発生します。しかし、飲食物が原因の臭いは一時的なものであるため、口腔ケアをきちんと行えば抑えることは可能です。
メチルメルカプタンによる臭いを消すには、歯周病そのものを治療する必要があります。
歯周病の改善なしでは、口臭をほとんど消すことができません。
歯周病が原因で起こる口臭は、メチルメルカプタンによって生じる臭い以外に卵の腐敗臭がすることも特徴です。
主に硫化水素という気体物質が原因で歯に付着する歯垢のほかに、舌の汚れからも検出されます。
硫化水素の分泌量が多くなる原因は以下のとおりです。
硫化水素は、健全な口腔内でも検出されますが、歯周病を持った人には特に多く見られる傾向です。
臭いは、メチルメルカプタンと比べると強くはありませんが、硫化水素の臭いは2番目に多い特徴とされています。
人に知られずに短時間で口臭を確認したい方は、セルフチェックがおすすめです。
歯科医院で行う本格的なものもありますが、口臭の有無は、自分でチェックする方法がいくつか存在します。簡単に行えるものばかりなので、試してみたい方は参考にしてください。
口臭が気になる方は、第三者にチェックしてもらうことが効果的です。自分の口臭は、慣れてしまうと自覚しづらいため、臭いがきつくなっても気づきにくい可能性があります。
普段の食事で臭いが強いものを食べる機会が多い場合、または歯周病を指摘されたことがある場合は、とくに注意が必要です。
自分の口臭に気づかないまま人に会うことがあり、いつの間にか相手に迷惑をかけてしまうケースも否めません。
他人の口臭は、普段の生活で嗅ぐ機会は少ないため、強い臭いがあるか気になる方は誰かにチェックしてもらいましょう。
口臭は、乾いた唾液の臭いを嗅ぐことでもチェックできます。清潔な手で舌の上や歯と歯ぐきの間に触れ、指先についた唾液の臭いを嗅ぐ方法です。
健康な場合は、ほとんど問題ありませんが、きつい臭いを感じたときは、口臭に問題があるかもしれません。
手を汚したくない方は、指ではなく綿棒やティッシュを使ってチェックするのもよいでしょう。
また、歯を磨き終わったあと、デンタルフロスを歯間に触れさせて臭いを嗅ぐ方法も効果的です。
強い悪臭がある場合は、歯周病の可能性も考えられます。気になる方は、歯科医院へ相談しましょう。
口臭チェックには、コップや袋を使った方法もあります。手順は、きれいなコップやビニール袋に息を吹き込み、臭いを嗅ぐというシンプルな方法です。
人に会う前や出かける前に短時間で済むため、簡単に行えます。口臭に問題がなければ気にする必要はありませんが、違和感がある場合は注意しましょう。
腐敗した卵や玉ねぎの臭いは、今まで嗅いだ経験がないとしても、異常な臭いであることに気づきやすいものです。歯周病検査を受けに歯科医院へ行きましょう。
歯科医院では歯周病の検査が可能です。
口臭に違和感のある方、第三者から口臭を指摘されたことのある方は、早めに歯科医院で検査を受けてみましょう。
歯周病による口臭は、臭いの除去だけを考えても改善は見られません。口臭のケアを行っているのにも関わらず、臭いが取れない方は、はじめに歯周の健康状態に目を向けましょう。
具体的に、歯周状態を良好にするための方法をまとめています。口臭で悩んでいる方は、歯周状態から見直してみてください。
お口の健康を保つためには、毎日のブラッシングが大切です。
歯の磨き方にはさまざまな方法があり、歯周病予防に効果的なブラッシングの仕方も存在します。
歯周状態を良好に保つために効果的なブラッシングは、歯と歯の溝を磨く方法です。主に歯肉のマッサージを意識したもので、歯周病を予防するためにも十分な効果を発揮します。
また、歯磨きは適切なタイミングで、少なくとも2回以上は行うことを心がけましょう。夜寝る前と、朝起きたあと、可能であれば毎食後に磨く習慣を身につけてください。
歯と歯の間に潜む汚れを歯ブラシだけですべて取り除くことは、不可能です。
口腔内の細かい部分に対しては、必ず歯間ブラシやデンタルフロスを活用しましょう。歯間部に隠れたプラークまで取り除くことで、細菌繁殖の抑制にもつながります。
口腔ケア方法は、歯を磨くだけに留まりません。
自分ではしっかり磨けているつもりでも、磨き残しは少なからず存在します。歯ブラシでは届きにくい奥歯や歯と歯の間、歯と溝の間など細かい部位は、補助道具を用いてケアするようにしましょう。
しかし、歯周病の原因菌は歯と歯茎だけに限らず、舌の上に潜んでいる場合もあります。
舌は繊細な部位なため、歯ブラシでゴシゴシ磨いてしまうと表面を傷めてしまうリスクがあり注意が必要です。必ず、舌専用のブラシを用いてブラッシングしましょう。
おもな補助器具の種類は以下のとおりです。
補助器具は、それぞれの部位に合わせて使い分けましょう。
毎日、自宅でのケアを行っていても、きちんとできていなければ十分な効果を期待できません。
普段から自分で行っているケアが不安な方は、定期的に歯科医院へ来院し、お口の中を診てもらいましょう。
歯科医院では、歯に汚れが見られるとその場でお口の中をきれいにしてもらえます。また、歯ぐきのマッサージ効果のあるブラッシング指導を受けることも可能です。
補助道具の使い方も同時に教えてもらえるため、自分でのケアに問題があった場合、ケアの改善と効果の向上にもつながります。
忙しい日々を送っていて、なかなか歯科医院へ行く機会を作れない方は多いかもしれません。
まずは、数ヶ月に1度の間隔で十分なので、歯科医院に検査を受けに行く日を設けてみてください。定期的な来院を続けていれば、口腔内改善の効果が得られます。
歯周状態が健康なのにも関わらず、口臭で悩まされている方は少なくありません。口臭には、歯周病による原因のほかに、生理的口臭というものがあります。
生理的口臭は、体内のホルモン変動によるものから、生活習慣や体調などで発生する口臭です。
歯周病などが見られず、お口に問題のない状態であっても、日常生活を送っていれば少なからず発生します。
毎日生活している限り、生理的口臭は完全になくなることはありません。日々の食事や喫煙、健康状態などによっても、口臭の強さは左右されます。
生活による臭いに関しては、日頃から気をつけていれば防げますが、健康状態を疑うほど深刻なのは全身疾患による口臭です。呼吸器系の疾患や消化器系疾患などの全身疾患も、口臭と関係すると考えられています。
しかし、口臭の原因は87%が口腔内にあるため、あまり深く心配する必要はありません。臭いの自覚がある方は、歯科医院を受診しましょう。
歯周病による口臭は、歯科医院で歯と歯ぐきの治療を受けない限り、消えることはほとんどありません。
口臭の原因によっては自分で取り除くことも可能ですが、抑えられるのは、食生活など環境的なものに限ります。
歯肉からの出血が見られる方やお口の臭いが気になる方は、定期的に歯科医院で検査を受けましょう。
口臭の原因だけでなく、口腔内の状態まで把握できます。歯に汚れが見られた際は、その場で掃除をしてもらえるため、状態の改善も可能です。
また、ブラッシング指導を通じて正しいケアの方法まで確認することができます。きれいにしてもらった口腔内の状態を、そのまま保つことにも効果的です。
口臭とお口の改善、健康状態の維持すべてに期待できるので、気になっている方は是非とも歯科医院へ相談してみてください。