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根管治療とラバーダムについて

ラバーダムとは?

根管治療のイラスト

ラバーダムとはゴム製のシートで、主に根管治療において治療する歯以外を覆うものです。口の中には細菌がいて、唾液に混じって治療する歯に流入してしまうことを防ぐ目的で使います。

ラバーダムは、使った方が
良いの?使わなくても良いの?

こういう質問に対する答えは、その治療を専門的に行う学会が答えを持っていることが多いです。診療ガイドラインというものがあり、科学的根拠が強く、その治療をする時に守るべき事が書かれています。

では、根管治療を研究する学会:日本歯内療法学会(*1)が発行する「日本歯内療法学会雑誌(*2)」にラバーダムの使用状況について書かれている論文があるので、そこから見ていきましょう。

歯内療法学会雑誌 2011年第32巻第1号
「わが国における歯内療法の
現状と課題」

「わが国における歯内療法の現状は決して世界に誇れるものではない。その一因として、歯内療法における無菌的処置原則が必ずしも守られていないことが挙げられよう。」

「すでにVan Nieuwenhuysenらは、ラバーダムを用いない根管処置の成績は、ラバーダムを装着した群と比べて統計学的に有意に劣ることを発表している。(*3)」

「ラバーダムを「必ず使用する」のは、一般歯科医師で5.4%、日本歯内療法学会会員でさえ25.4%に過ぎなかったと報告されている。(*4)」

「根管処置時のラバーダム装着については、日本歯内療法学会ガイドライン(*5)、ESE(ヨーロッパ歯内療法学会)ガイドライン、さらに米国歯内療法学会ガイドライン(*6)のいずれにおいても、必須と明記されている。」

この論文からわかること

  1. ラバーダムを使った方が、根管治療の治りは良い。
  2. 日本、ヨーロッパ、アメリカの歯内療法学会のガイドラインでは、根管治療の時にラバーダムを使うのは、「必須である」と明記されている。
  3. 根管治療の時にラバーダムが「必須である」と明記されているにもかかわらず、日本ではラバーダムを使う歯科医師が少ない

医療法人まる歯グループでは、根管治療時にラバーダムを使用しています。
根管治療を受ける際には、ラバーダムを使う歯科医院かどうかをHPなどで確認してみると良いと思います。

参考情報

(*1)日本歯内療法学会
https://jea-endo.or.jp/


(*2)日本歯内療法学会雑誌
https://jea-endo.or.jp/publication/journal.html


(*3)Van Nieuwenhuysen JP, Aouar M, D’Hoore W * Retreatment or radiographic monitoring in endodontics, Int Endod J, 27 * 75-81, 1994.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1365-2591.1994.tb00234.x


(*4)吉川剛正、佐々木るみ子、
吉岡隆知ほか
歯内治療時のラバーダム防湿に関する現状と意識調査、日歯保存誌、24 : 83-86, /2003.


(*5)日本歯内療法学会編
歯内療法ガイドライン・学術用語集・
語彙集、日本歯内療法学会、1-21,
/2009.
https://jea-endo.or.jp/materials/pdf/guideline.pdf


(*6)American Association of
Endodontists
Guide to Clinical Endodontics, 4th ed., 12, /2004.
https://jea-endo.or.jp/materials/pdf/aae/07.pdf