WEB予約

親知らずが痛くなったらどうする?その対処法と注意点とは

そもそも親知らずとは

親知らずとは最も後ろに位置する永久歯のことを言い、智歯や第三大臼歯と呼ぶこともあります。
真っ直ぐ生えてくる人もいれば、顎が小さい人は十分なスペースがなく、埋まったままになっている人もいます。更には生まれつき親知らずがない人などさまざまです。
一番奥にある歯なので磨きにくさもあり、生え方や状態によってはトラブルが発生しやすい歯と言えます。

親知らず(智歯)と年齢の関係

親知らずが痛くなる原因とは

斜めや横向きに生えるなど、親知らずの状態によって痛みを感じることがありますが、親知らずが痛くなる主な原因は4つあります。

1. 智歯周囲炎

親知らずの周りに細菌が繁殖し炎症が起こることを智歯周囲炎と言います。
親知らずが少しだけ生えている、または斜めに生えているなど歯磨きがしにくいことにより、細菌が溜まりやすくなってしまいます。歯が痛いというよりは歯ぐきや顎が痛いと感じることがあり、腫れを伴うこともあります。

2. 虫歯や歯周病

こちらも親知らずの生え方によって歯磨きがしにくいことにより、虫歯や歯周病になりやすくなります。
親知らずは奥歯のさらに奥にあるため、そもそも磨きにくいものです。親知らずが虫歯になり、そのまま放置してしまうとその隣の歯も虫歯になってしまうこともあるため、痛みを感じたらなるべく早く歯科医院を受診しましょう。

3. 生えてくる時の痛み

親知らずは歯ぐきを押し上げながら生えてきます。その時に違和感や痛みを覚えることがあります。
この時に真っ直ぐに生えてくると痛みは治ることが多いですが、隣の歯を押すように横向きに生えてくるとかみ合わせや歯並びに影響を及ぼすこともあります。

4. 歯性感染症

歯性感染症とは、虫歯や歯周病、智歯周囲炎などの炎症が周りの組織にまで侵入し重症化する病気の総称で、具体的には以下のものがあります。

・顎骨骨膜炎

顎骨骨膜炎(がくこつこつずいえん)は、虫歯などの細菌が顎の骨に感染することで起こる感染症です。顎周りから顔全体が腫れて、ズキズキと痛みを感じます。

・化膿性リンパ節炎

虫歯などの細菌がリンパに感染することでリンパ節が腫れる感染症です。腫れだけでなく、高熱が出ることもあります。

歯性感染症になると抗生剤を服用し、炎症を抑える必要があります。重症化してしまった場合には点滴を受けることもあります。
それにより一時的に症状が治まることもありますが、根本的な解決策とは言えません。親知らずを放っておくと同じようなことが再び起こる可能性があるため、歯科医院で診てもらうと良いでしょう。

親知らずの隣の歯への影響 親知らずの(智歯)注意点 親知らず(智歯)の痛み

痛みや腫れがある時の対処法

痛みだけでなく、腫れを伴うことも多い親知らずのトラブルですが、多くの場合は1週間ほどで症状が落ち着いてきます。
しかし睡眠不足や日頃の疲れが溜まっていると免疫力が低下し、痛みや腫れを繰り返すこともあります。炎症が悪化すると口を開けることが難しくなることや膿が出ることもあります。

1. 清潔にする

親知らずが腫れた時には、炎症を抑えるために細菌を減らすことが大切です。
清潔に保つために指などでは直接触れず、できる範囲で優しくブラッシングやうがいをすると良いでしょう。触れると痛む場合には無理はせず、他の歯はしっかりと磨き、うがい薬などを使用して、なるべくお口全体の細菌数を減らすようにしましょう。

2. 免疫力回復

体の抵抗力が下がると細菌が繁殖しやすくなってしまうため、十分な睡眠時間の確保や疲労回復に努め、免疫力をアップさせることも早く腫れを治すためには欠かせません。

3. 痛み止めを飲む

痛みが強い時には、無理せずに痛み止めを服用しましょう。痛み止めの消炎作用により、炎症を抑えることにも繋がります。

4. 刺激や負担の少ない食事

なるべく刺激を与えないように固いものや辛いものは避けると良いでしょう。
痛みや腫れにより、食事がしにくくなったり食欲がなくなったりすることがありますが、しっかりと栄養を摂ることで免疫力の回復に繋がります。柔らかい食べ物や飲み物などで上手に摂取し、負担の少ない食事を心がけましょう。

5. 親知らずの周りを冷やす

痛みを和らげるために親知らずの周りを冷やすことがあります。急激に冷やすと痛みが増すこともあるため、氷などで直接冷やすのではなく、濡らしたタオルや冷却シートなどを用いて少しずつ冷やすと良いでしょう。

痛みや腫れを感じたら自宅での対処も大切ですが、必ず歯科医院を受診しましょう。
放っておいて一時的に落ち着くこともありますが、何が原因で炎症が起こっているのか、どのような治療を受けるべきか診てもらうことをおすすめします。

親知らずの抜歯が怖い

痛みがある時は抜歯等の治療ができない?

親知らずに痛みを感じたらなるべく早く歯科医院を受診しましょう。
しかしながら、すぐに抜歯等の治療が受けられるとは限りません。炎症が強い時は麻酔が効きにくくなるため、痛みが出やすい状態での治療はなるべく避けることが多いです。痛みを取るための抜歯のはずが、かえって痛みを増してしまう可能性があります。
特に痛みや腫れがひどい時には炎症を抑えるために、まずは痛み止めや抗生剤を服用し落ち着かせることが大切です。

痛みや腫れの程度にもよりますが、親知らず周辺の汚れを除去し、お口の中の細菌を減らして炎症を抑えることができます。
必要に応じて薬を直接塗布し、消毒をします。もちろん、状態によっては抜歯や虫歯の治療へ進むことも考えられます。

親知らず(智歯)の相談

まとめ:痛くなる前に歯科医に相談しましょう

親知らずが痛くなってから歯科医院を受診すると、すぐに治療が受けられないことや重症化してしまうと痛みだけでなく腫れや発熱など全身に影響が及ぶこともあります。結果としてお口の中と全身の回復に余計な時間や負担がかかってしまいます。

できることなら痛くなる前に歯科医院で親知らずの状態をチェックするのが良いでしょう。
上の親知らずは、真っ直ぐ生えていると比較的痛みも少なく、すんなりと抜けるケースがほとんどです。ただし抜歯後に痛みや腫れが出ることはあります。
下の親知らずは、斜めや横向きに生えていることが多いため、困難な抜歯になることもあります。この場合は、抜歯後に痛みや腫れが起こりやすいです。ただし、例え斜めや横向きに生えていたとしても、しっかり歯磨きができて清潔に保てれば必ずしも抜歯が必要とは限りません。

レントゲンで親知らずがどのように生えているのか、向きや神経との距離を調べ、抜歯や虫歯の治療は必要なのか、リスクも含め、あらかじめ分かっていると心の準備もしやすいものです。
また、ライフステージに合わせて今すぐ抜歯をするべきか、今は忙しいので落ち着いたタイミングで抜歯を希望するなど、タイミングを相談することも可能です。

まずは何もなくても歯科医院の定期検診を受けることがとても重要です。
親知らず周りの磨き残しが目立つようなら、より効果的な磨き方を習得するなど、意識して気をつけることができますし、プロによるクリーニングを受けることで細菌および炎症のリスクを減らすことができます。
定期的にチェックしていると虫歯や歯周病が進行しているかどうか変化も分かってくるため、進行が見られるようならばタイミングを見計らって治療に進むこともできます。
このように痛くなる前にできる対策はたくさんあります。疲れていて免疫力が低下したタイミングなど、急に痛みが出る時は忙しかったりすぐに歯科医院へ行けない状況だったりと不運が重なることもしばしばあります。
そうならないためにも、日頃からのセルフケアに努め、定期検診をしっかり受けるようにしましょう。