歯の寿命を短くする原因4つと延ばすために必要なたった1つのこと

治療の説明

今ある自分の歯は、自分の生きる生涯、共存するものと思っていませんか?

現在の日本人平均寿命は男性が80歳、女性は87歳です。
永久歯が萌え始める6歳頃から約75年は保たせなくてはなりません。簡単なことではありませんね。

歯の本数基本的なことから言うと、通常、永久歯は上に14本、下に14本の合計28本あります。
この28本の歯を生涯、無傷で保たせることは至難の技です。
歯は、子供の頃に萌えた時が一番虫歯になりやすく、一番虫歯の進行スピードが早いものです。
自分で上手く歯磨きもできないし、中には歯磨き嫌いな子供もいます。
そんな子供に「虫歯になったら大変なんだよ!」と話してもなかなか効果は薄いものです。
歯医者に行くとなると痛いし嫌だと泣きわめき、親も精根尽きて結局途中でフェードアウト・・・。
なんとも悲しい話です。

では歯医者から遠ざかってしまう人が、どのようなお口の中の一生を過ごすのか、簡単に追ってみましょう。

20代、30代と仕事に追われ、ちょっと歯が欠けたとか、詰め物が取れたと言っても、仕事も忙しいし時間もない、歯の痛みもないからとそのまま放置してしまう方もいらっしゃいます。
これでいいという訳もないと思いながら、何かと理由をつけて歯医者には行かない日々。

40代、50代。若い頃に歯医者から遠ざかり、なかなか歯医者に行きづらいお口の環境に自分でも気づいていながら、なかなか一歩が踏み出せない。
行ったら行ったで「何でここまで放置したんですか!?」と怒られそう・・・。
と考えてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

60代、今までのツケが一気に押し寄せ「もう歯医者に行かなきゃ!」と重い腰を上げて、歯医者に行ってみた途端、抜歯しなくてはいけない歯がたくさんあると言われ、一気に何本も抜歯することに。
結局大きな入れ歯を入れることになって、今まで以上に噛みづらいし、傷もできて痛くて、話しづらい。

老人70代、80代。初めてつけた入れ歯から、何回か作り直しをして、その度に抜かなくてはいけない歯の宣告を受けて、結局今は総入れ歯。
最初は慣れなかった入れ歯にも、悲しいかな少しずつ慣れてしまい、今では入れ歯を舌で押さえながらご飯を食べるなんて器用な技まで身についてしまった。

実際、こう言った話はよく聞きます。
その時、患者様が口を揃えて仰るのは、
「あぁ。もっと若い時に歯医者に通っておくんだった。歯は大事ですね。」
人間は失って初めて気づくことが多いのかもしれませんが、代償は大きいです。

失って、その大事さに気づいて戻って来た恋人はいたとしても、歯は決して戻っては来ません。

一本や二本、歯を失ったって大丈夫でしょ?
と考える人もいるかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか?

どの状況になった時に歯は抜歯となるのか

実際に、どの状況になった時に歯は抜歯となってしまうのか、順を追ってご説明していきましょう。

①虫歯

虫歯が大きくなってしまったら、歯も抜かなくてはいけません。
では、どの程度虫歯が大きくなったら歯を抜かなくてはいけないのでしょうか?
一つの目安になるのは、「歯茎」です。
虫歯が大きくなりすぎて、歯茎の高さよりも深く虫歯が進んでしまった場合、歯を抜かなくてはいけないという診断をすることがあります。

歯の構造歯の構造は3層構造になっており、お口を開けて見える部分は「エナメル質」と言います。エナメル質は体の組織の中で最も硬く、食べ物を噛む、すり潰すなどの役割と、硬い組織で歯を守る役割があります。
エナメル質の下には「象牙質」と言う組織があり、エナメル質と比べると柔らかく、冷たい、温かいなどの刺激を神経に伝える役割があります。
最後に、象牙質の中には「歯髄」という歯の神経があります。
象牙質によって伝えられた刺激の情報を感じ取り、脳に伝えます。

虫歯の大きさは5段階で表され、上記の3層構造に至ってしまっているか否かが段階を分ける目安になります。

C0C0・・・初期虫歯になりつつある状態で、エナメル質が白く濁った色になっている状態。
虫歯治療をする必要は無いですが、白く濁った部分が欠けてしまったり、茶色に変色してきたら虫歯治療をする必要があります。

C1C1・・・エナメル質に限局して虫歯が出来上がっている状態。
色が黒くなってしまっていることが多いです。
この時点では特に痛みなどの症状は感じないことが多いですが、見つかり次第、治療を行った方が良いでしょう。

C2C2・・・虫歯が象牙質に至ってしまった状態。ここまで進行してくると、冷たい物、甘いものが凍みて痛み出すことがあります。
ご自身でそのような症状を感じたら、歯科医院を受診されることをお勧めします。

C3C3・・・虫歯が神経にまで至ってしまい、ズキズキと痛み出します。
この状態になると、神経を取る治療が必要になり、期間や費用も大きくなります。

C4C4・・・虫歯が大きくなり過ぎてしまい、抜歯になります。
単純に虫歯で抜歯になってしまう場合は、前述にありました一番虫歯が進んでしまった状態のC4という状態になります。
一度も治療を受けずにここまで進行してしまうことは中々ありませんが、もし、そうなってしまった場合は、歯科治療を受けてこなかった自分を責める他ありません。

②根管治療

前述いたしました、虫歯が進んでC3と診断された場合、神経を取る処置(根管治療)が必要になります。
通常、根管治療をしただけでは抜歯には至りませんが、根管治療は複雑な歯の神経の管を探り、小さくて細い管を治療していく行為です。
とても難しいですし、奥歯に行けば行くほど見えにくく、操作しづらくなって難易度は高まります。

根管治療また、口腔内には虫歯菌や歯周病菌など数千億の細菌が住んでおり、その細菌がお口の中のトラブルの原因になることが多いです。
根管治療をしている最中にも、唾液に混ざって根管内に細菌が入り込むことがあります。
そうすると、根管内で細菌が繁殖してしまい、感染根管となります。

感染根管になると根の先に膿が溜まってきて、噛むと痛い、何もしなくてもじわじわと痛むなどの症状が出てきます。
感染根管になったからといって抜歯をするのではなく、もう一度、根管治療をやり直すことが多いです。
ただ、根管治療を続けていても症状が寛解しない時、根の先の膿が大きすぎるときなどは抜歯が必要だと診断することがあります。

③歯根破折

歯根破折根が割れてしまった時は、即抜歯を選択しなくてはなりません。
転んだり、事故に遭ったりした時に、歯を強くぶつけてしまうと、いくら硬い歯であっても折れてしまいます。
歯のどの辺で、どのように折れるかによっても抜歯が必要か否かは変わってきますが、基本的に歯が折れてしまった時には抜歯になるケースが多いです。

また、前述しました根管治療を行った歯は、神経の残っている歯と比べて断然、歯根破折が起こりやすいです。
よく、その状態を「木」に例えることがあります。
普通に生えている若木は強風などではしなって折れにくいですが、枯木に少し力を加えるとバキっと乾いた音を立てて折れてしまいます。
この状況と同じように、歯の神経を取ってしまった歯は、同時に血管も取ってしまっていることもあり、噛む力に負けてしまって折れてしまうことがあります。
根管治療を行った歯が割れてしまったら、大体の場合、抜歯を選択しなくてはいけません。

④歯周病

歯周病歯周病とはよく聞くけれど、実際どのようなものなのか、しっかり理解されている方は少ないのではないでしょうか。
歯周病とは、簡単に言うと、「歯の周りに着いた汚れに歯周病菌が住みついて、その歯周病菌が歯茎を腫らし、歯を支えている骨を溶かしてしまう。」という病気です。
歯の周りに着いた汚れとは、日頃のお食事などの残りがプラークという汚れに変わり、それが歯の表面に付いてしまったものや、そのプラークがずっとそのまま居座って、歯石になってしまったものを言います。
歯周病も軽度、中等度、重度と段階があり、抜歯対象歯となるのは重度の歯周病です。
重度の歯周病になると、歯がプラプラと動き、歯を舌で触っただけでも抜けてしまいそうなほどになります。
その状態になってしまったら、もう歯を残しておくことは難しいでしょう。物をしっかり噛んで食べることも難しくなってきます。

歯周病の怖いところは、「痛みなく進行してしまう」ことにあります。
口臭が気になる、最近歯茎から出血して気になるなどの症状を感じ、歯科医院を受診すると重度歯周病を患っていて、抜歯をするしかなかったということはよくあります。

また、歯を失う原因として、上記に挙げさせていただいた①〜③のことを上回って、全体の40%を占めて歯周病が1位に挙げられます。
若年性の歯周病や全身疾患からくる歯周病もあり、病態は様々ではありますが、多くの場合40代から徐々に罹患率が上がり、年齢を増すごとに増えていく特徴もあります。

大きく分けて、正常に萌えていた歯が抜かなくてはいけなくなる理由としては上記の4つに分けられるかと思います。
その他、親知らず、矯正治療を行うにあたっての便宜的な抜歯などの場合もあるのでご注意ください。

抜歯をしなくてはいけなくなるケースも人それぞれ、歯それぞれだとは思います。
しっかり歯科医院に通院していて、定期検診に通っていてもなお、抜歯に至ってしまったケースもあると思います。

どのような経緯で歯が抜歯になるのか

どうして抜歯するのかここまでは、どのような状態になったら歯を抜かなくてはいけなくなるのかをご説明してきましたが、次はどのような経緯で歯が抜歯になるまでに至ってしまうのかをご説明いたします。

当然、歯の疾患ごとに抜歯に至る理由は異なります。最初は小さかった虫歯も銀歯を詰めて治し、銀歯が外れたり、虫歯になってしまって、また治療をし直し、そうこう治療を重ねていると虫歯が神経にまでたどり着いてしまい、神経を取る根管治療が必要になり、根管が感染してしまったり、銀の被せ物の周りが虫歯になって再治療が必要になり、症状が落ち着かなくて抜歯。
もしくは歯が弱ってしまい、破折してしまって抜歯。

ずらっと続けて書きましたが、これが昔から行われている歯を失う道筋に立たされた歯の治療です。
この負のサイクルをどこかのタイミングで脱しないといけません。
もちろん、虫歯にならずに歯を一度も削らないことほど良いことは他にありません。

銀歯平均寿命5年と言われている銀歯をつけて、それで治療が終了した、問題ないとは決して言えません。
大げさではあると思いますが、また次の虫歯が作られる環境を自ら作り出したようなものです。
なぜここまで言うかと言いますと、そもそも銀歯は日本でのみ使用されている合金で、「12%金銀パラジウム合金」と言い、「とりあえず穴が塞がり、噛めるようになる」という材料です。

金歯は大昔から用いられていましたが、金はご存知の通り高額です。
そこでコストを下げ、生体に害のない程度に色々な金属を混ぜて出来上がった金属が金銀パラジウム合金です。
この合金を使って歯を治療するメリットはただ一つです。

それは「保険適応」、これに尽きます。
国に決められた保険制度の中で使用できる材料は限られています。
そんな中で、ある程度、物が噛めて、穴を埋めることができる材料が銀歯なのです。

どの歯医者さんに聞いてもそうだと思いますが、自分の歯に銀歯を入れたい歯医者さんはいないと思います。
それは歯医者さんがお金持ちだと言っているわけではありません。

銀歯の悪いところをたくさん知っているし、たくさん見てきているからです。
銀歯を入れた歯の末路は決まっているんです。もう見えているんです。
抜歯へと向かうレールに乗ってしまった歯は、その日が来るまでのカウントダウンをただひたすら待っているのです。

液晶テレビでは、どうすればこのレールから脱出することができるのでしょうか。
それは、最新の技術、材料を選ぶことです。
家電量販店に行って、テレビを買う、洗濯機を買うと言った時に、ブラウン管のカラーテレビを安く買ったり、二槽式洗濯機を安く買ったりする人はいませんよね?
今であれば、綺麗に見られる4K、8Kのデジタルテレビ、全自動式ドラム洗濯機を皆さんお買い求めになるのではないでしょうか。

歯の材料も実はたくさんあるのです。昔から使われている、とてもいい材料や、最新の生体にとても優しいものまで開発されています。
歯科業界も凍りついているわけではありません。日々、進歩し続けているのです。

セラミックの歯そういった中で、昔も今も、長きにわたり使われ続け、信頼性を置ける歯科材料としてはセラミックが有用です。
セラミックはいわゆる陶器で出来ており、生体親和性も高くて体にも良く、噛むにも十分な硬さがあり、表面は滑沢で汚れがつきにくいです。
そして最新の接着剤を用いれば外れにくく、歯を密封する形になるので虫歯菌が詰め物の中で繁殖することもないです。
歯とセラミックを一体化させることで、歯そのものをもう一度再現するような形になるのです。
当然、ご自身の歯よりもセラミックの方が汚れはつきにくいです。
ただ、セラミックにも弱点があり、陶器を落とすと割れてしまうように、歯科用セラミックも衝撃に弱いです。
ですから歯ぎしり、食いしばりのすごい方はマウスピースをしていただく必要があると思います。

確かに、述べさせていただいた治療は高いかもしれません。保険適応外治療は高い。
歯医者は高い治療を勧めてくる。
歯にお金なんてかけてられない。
そういう声はよく聞きます。

そう感じられるのも事実なのでしょうし、話し方にもよるかと思いますが、押し付けられている感じがするのかもしれません。
ただ、その治療を行うにあたって、治療に必要な材料費、手伝ってくれるスタッフの人件費、セラミックを作ってもらう技工料金、色々なところにお金はかかってきますから、歯医者さんの手元に残るお金なんていうのは、銀歯を詰めた時と大した差はないのです。

治療の説明では、なぜ歯医者さんは患者様に良い治療、保険外治療を勧めるのでしょうか?

お分かりですよね。
それが良い治療に繋がることを知っているからです。

医者だけでなく、歯医者も医療人です。
患者様には治っていただきたいに決まっています。
そして、美味しい物を美味しいと言いながら笑顔で食事をしてほしいからです。

だから、歯医者は患者様になんと言われようと、良いものを患者様に宣教師として広めていく義務があるのです。

保険外治療は高額です。
地域にも差がありますが、治療の計画によっては何百万円という値段になってしまうこともあります。
しかし、それを受け入れて抜歯に向かうレールから脱出しようという方もいらっしゃるのです。

食事きっとその方は将来、美味しいものを美味しいと家族と分かち合いながら笑顔でお食事なされることでしょう。
美味しいものは食べたいけど歯がない、入れ歯がガタつくからたべれるものが限られる、家族とは別の食べれるもののメニューが用意される、歯が原因で自分が食べられないものがあるから外食のお店が限られる。
こんな寂しい人生は嫌じゃないですか?

そこに至るまでの幾多の決断をしてきたのはご自身ですから、全責任はご自身にあります。
虫歯になったのも、放置してしまったのも、銀歯をはめると決めたのも、歯にはお金をかけなくていいと決めたのも、すべてご自身ですからご自身の責任です。
この末路から脱出するタイミングは人生、生きていれば幾つも有ったはずなのです。
それを見逃した、あえてスルーしてきたのはご自身だということに自覚を持ってください。

まとめ

歯というものは、学べば学ぶほど、とてもよくできた構造をしているものだと痛感することがよくあります。
歯だけではなく、歯を支える歯茎、骨、顎の関節、それに付随する神経、筋肉。
どれをとっても複雑でありながら精巧に作られているものなのです。

この精巧に作られている組織を悪くしてしまう原因は、お口の中の細菌、宿主(性別、年齢、全身疾患など)、環境(ストレス、喫煙、服薬など)の三つで構成されます。
虫歯も歯周病も噛む力の問題も、すべてがこれらの原因からなるものです。

一本の歯を大切に蟻の穴から堤も崩れるという諺(ことわざ)もありますが、たった一本の歯の喪失から口腔内がどんどん崩壊してくることもあります。
歯を失うと、失ったところに隣り合う歯が倒れこむように移動してきたり、その歯と噛み合っていた上、または下の歯が「挺出」と言って伸びるように歯が出てきてしまいます。

そうした歯の移動が起こると、どんどんと隣り合っていた歯の間の隙間が大きくなってきて、食べたものが詰まりやすくなったり、汚れの掃除が難しくなり虫歯になりやすい環境が出来上がってしまいます。

顎が痛いまた挺出した歯が、噛んだ時や歯ぎしりをした時に他の歯に引っかかるようになると、顎の関節に負担が重なるようになり、口を大きく開けられなくなったり、大きく開けようとすると顎の関節に痛み、コリッという雑音が出るようになったりします。
いわゆる顎関節症という状態です。

歯の揃っている方で頻繁に食事をするようになり、顔の筋肉のつき方に左右差が出てきてしまって、正面から見ると曲がったように見えるようになります。

歯を失わない、お口の環境を守るために、自分が今できることは何なのか?皆さんよく考えてください。
私が考える今できることは、

  1. お口の中を清潔に保つ
  2. 歯科の定期検診に通う
  3. 歯に悪いものから良いものに取り替える

の3つであると思います。
この3か条を行うことで、皆さんの将来のお口の中は今のまま何もしないよりも、より良い状態で迎えられるということを確信しています。


SNSでもご購読できます。